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万年時計(正式名称:万年自鳴鐘)は、久重の生来の技術である金属細工と、からくりの才を素地として、高度の天文暦学と西洋の時計技術の精髄を取り込んだ最高傑作です。江戸時代において当時の最新技術を結集させた時計であり、二組の(真鍮で作られた二重)ゼンマイを動力に、六面の時計を同時に動かします。さらに鐘を鳴らし、干支や七曜、二十四節気、月の満ち欠けも表示します。
機構の精巧さもさることながら、優美さと気品を漂わす伝統工芸品としても高い精度を誇っており、2006年には国の重要文化財に指定されました。
- ※ このCGは東芝研究開発センター機構分析チームが製作しました。
矢台に置かれた矢の4本を人形が順番に手に取り、連射していくからくり。
4回のうち1回は的をはずすように羽根に細工がしてあります。能面効果を利用して頭(かしら)が彫られており、矢が的にあたった時には満足気、はずれたときには悔しげな表情を浮かべるように見えますが、これはたくみな人間心理の利用です。そのような観客の心理投影的共感を誘う人形のなめらかな表情変化は、微妙な糸の弛みを用いて調整されています。新撰組ゆかりの豪商、伏見の前川家で発見されたものです。
- ※ 久留米市教育委員会蔵

アメリカのコレクターの手に渡っていたものを12年にわたる交渉の末ようやく里帰りさせた幻の人形。
台座に仕込まれたぜんまいを動力にカムを利用して「寿」「松」「竹」「梅」の4種の文字を書く仕組み。右手に持った筆を、墨の入った硯につけ、文字を書きます。書き終わると文字を書いた額縁が180度回転し観客に文字を披露。人形の視線が筆先を追ってゆき、書き上げると満足気な表情を浮かべるように見えるのは秀逸。海外のオートマタ(からくり人形)のように肘からの動きで文字を書かせる方が安定性が高く構造も簡単になるが、人間らしい"しぐさ"や筆圧の調整による線の太さの変化を追求した結果、この人形においては肩関節からの動きを実現しているのは特徴的です。
- ※ 東野進氏蔵


